徒然なる雑記

日々の発見や趣味や学びについての記録

ある大学院生のお話

スモールビジネスとスタートアップ

最近スモールビジネスとスタートアップの手法について考える機会があったので、自分の現在の考えをまとめておこうと思ういます。

 

結論は、スタートアップに合うビジネスを目指す以上、「スタートアップという手法」によってなさなければならないということです。

 

 

まず、スモールビジネスの具体例は、街の商店や飲食店などが挙げられます。

特徴は以下で、

①「1つ売ると○円利益が出る」というような直線的な利益が描けて、

②これに応じて成長も直線的かつ、持続的なもので、

③市場が既に存在しており、市場環境の変化が少なく、

④資金供給源が自己資金か銀行融資をしっかりと取れる。

といったところでしょうか(視点によっては他に特徴はありえますが、本稿で必要そうなのは上記)。

 

一方で、スタートアップとは上記に比較するとわかりやすく、

①初期は利益がでない(赤字を掘りすすめることも多々)が、成長が始まると幾何学的なリターンを生みはじめ、

②成長は幾度かの資金調達を経つつJカーブを描き、

③不確実な市場に対して、市場の存在を手探りで確かめながら、

④資金供給を自己資金かVCなどからの出資で成長を加速させる。

といったところでしょうか。

 

上記は、あらゆるところで「スタートアップのためのバイブル」と崇められている『起業の科学』にも同じようなことが書かれています。

*実務的にどこまで使えるかは業種やビジョンによって異なりますが、基本的な構造とかを知るためには非常に有効なので、一読の価値はあります。

 

起業の科学  スタートアップサイエンス

起業の科学 スタートアップサイエンス

 

 

 

 

ここまでは、割と起業家界隈、特にスタートアップ界隈では当然の認識であると思います。

 

 

 

最近強く感じたのは、「この会社はスタートアップであるか否か」というよりは、「『スタートアップという手法』を取るべきか否か」という感覚の方が大切なのではないかという点です。

 

「スタートアップという手法」とは、ある点を超えた瞬間に二次関数的な成長をすることを目指し、(VCなどの外部資金が入っていれば)外からもそのような成長をすることを求められるということです。

これは、マイケルポーターの競争戦略も前提とした上で、

①市場が不確定であるからこそ、見つけた勝ち得る可能性があるポイントに対して一気に独占をしにいかねばならない

②大企業が手を回せていないポイントを見つけて、そこを大企業が潰す前に急拡大して独占してしまわなければならない

このような場合には必ず、スタートアップという手法を取らなければなりません。

 

 

*『競争の戦略』は、大企業などの競争が起きているビジネスの場に限らず、考え方はスタートアップや個人的な戦略としても捉えることもできるのでおすすめです。

競争の戦略

競争の戦略

 

 

 

 

 

逆にスタートアップという手法を取らない場合、

①起業したてでは、企業としてのリソースが少ないので、同じようなことをやろうとする他の企業に負けてしまう

②大企業が資本力をもって、完全に隙間を埋めてしまう

ということが考えられます。

 

スモールビジネスに合うビジネスをスタートアップ的手法で行うことがあっても、スタートアップに合うビジネスをスモールビジネスの手法で拡大させることは難しいのです。

 

 

そして、VCや多くのエンジェルからの資金調達の面を考えても、スタートアップの手法に基づいた成長を描ける場合にしか調達はできませんし、そうでなければVCの望むようなリターンを生み出すことはできません。

VCはVCで、後ろの投資家や企業たちに説明する責任・リターンを返す責任がありますから笑。

 

スタートアップという手法に基づいた絵が描けているならば、VCは、必要なマイナス分を出資という形で補填することで、当該スタートアップが潰れないような資金注入を行ってくれますし、次のフェーズで一気にアクセルを入れるような資金注入を行ってくれます。

 

 

さて、結局自分たちのやりたいビジネスがスタートアップという手法を用いるべきなのか、否かを考えて成長の絵を描きましょうという話でした。